「行政書士なのに、なぜAI活用支援をしているんですか?」
この質問は、私が最もよく受けるものの一つです。確かに、一見すると行政書士という士業とAI活用支援は、全く異なる領域のように見えるかもしれません。しかし、私にとってこの二つは何も矛盾していません。むしろ、同じ一本の軸の上にある、極めて自然な選択なのです。
その軸とは何か。それは「経営支援」です。そして、その手段が行政書士業務であろうと、AI活用支援であろうと、私は目の前の顧客に貢献できればそれでいい――この理念こそが、私のすべての判断の根底にあります。
今日は、この問いに対して、私の価値観と経験を交えながら、できる限り丁寧にお答えしたいと思います。
士業という「肩書き」に縛られる危険性
まず、率直に申し上げます。士業という資格に過度にアイデンティティを置くことは、時に顧客への貢献を妨げる危険性があります。
もちろん、行政書士としての専門性は重要です。法令遵守、正確な書類作成、適切な手続き代行――これらは私が長年培ってきた技術であり、誇りを持っている領域です。しかし、それはあくまで「手段」であって、「目的」ではありません。
ところが、多くの士業者が陥りがちなのが、「自分は◯◯士だから、この範囲の仕事をするべきだ」という思考の硬直化です。資格の範囲内にとどまることで、安心感や正当性を得ようとする。それ自体は悪いことではありませんが、問題はその結果、顧客が本当に必要としている支援が提供できなくなることです。
私が大切にしているのは、「誰かのためになるか」という判断基準です。目の前の顧客が困っていること、それを解決するために必要なことが何か。その答えが行政書士業務の範囲外にあったとしても、私は躊躇なくそこに踏み込みます。なぜなら、顧客は「行政書士」に依頼しているのではなく、「問題を解決してくれる専門家」に依頼しているからです。
経営者が本当に困っていること
私の顧客の多くは、中小企業の経営者や個人事業主の方々です。彼らが私に相談に来る理由は、「許認可申請をしたい」「契約書を作りたい」といった表面的なニーズだけではありません。その背後には、もっと大きな課題があります。
それは、「事業を継続させたい」「売上を上げたい」「もっと効率的に経営したい」という、経営そのものへの悩みです。
例えば、ある飲食店のオーナーが営業許可申請の相談に来たとします。もちろん、私は行政書士として手続きを代行できます。しかし、話を聞いていくと、本当の課題は「人手不足で回らない」「業務が属人化していて、誰かが休むと店が回らない」といったことだったりします。
このとき、私が「それは行政書士の仕事ではないので」と言って手続きだけを済ませて終わりにしたら、顧客の本質的な課題は何も解決しません。むしろ、その後も同じ問題で苦しみ続けることになるでしょう。
だからこそ私は、行政書士業務を入口としながらも、顧客の経営全体を見据えた支援を行うようにしています。そして、その中で浮かび上がってきた課題の一つが、「業務効率化」であり、「デジタル化への対応」であり、そして「AI活用」だったのです。
なぜ今、AIなのか
ここ数年、生成AIの進化は目覚ましいものがあります。ChatGPTをはじめとする生成AIは、もはや単なる技術的な好奇心の対象ではなく、実務に直結する強力なツールとなっています。
特に中小企業や個人事業主にとって、AIは「大企業だけのもの」ではなく、むしろ「少人数で多くの業務をこなさなければならない現場」でこそ、その威力を発揮します。
文章作成、データ整理、顧客対応の効率化、マーケティング支援――これらすべてが、AIを活用することで劇的に改善できる時代になりました。しかし、多くの経営者はその可能性を知らないか、あるいは「難しそう」「自分には関係ない」と感じて手をつけられずにいます。
私はここに、士業としての新しい役割を見出しました。
士業は本来、「専門知識を持たない人を、適切な方向へ導く羅針盤」です。法律や手続きの専門家として、複雑な制度を分かりやすく説明し、正しい道筋を示す。それが私たちの役割です。
ならば、AI活用についても同じことが言えるのではないか。技術的な知識がない経営者に対して、「何ができるのか」「どう使えばいいのか」「どんなリスクがあるのか」を分かりやすく伝え、実際に導入して成果を出すまで伴走する。それもまた、経営支援の一環ではないかと私は考えています。
行政書士×AI――相乗効果の実例
実際に、行政書士業務とAI活用支援は、非常に相性が良いと感じています。
例えば、契約書のレビューや文書作成といった業務は、AIを活用することで大幅に効率化できます。また、許認可申請に必要な情報整理や、顧客とのやり取りの記録管理なども、AIツールを使えばスムーズになります。
さらに、私自身がAIを実務で使いこなしているからこそ、顧客に対して「机上の空論」ではなく、「実際に使える提案」ができます。単なる技術の紹介ではなく、「この業務にはこのツールが合う」「このやり方なら現場でも無理なく導入できる」といった、具体的で実践的なアドバイスが可能になるのです。
また、行政書士としての信頼関係があるからこそ、AIという新しい領域についても、顧客は安心して相談してくれます。「この人なら、自分たちのことをちゃんと分かってくれている」という信頼の積み重ねが、新しい支援の扉を開くのです。
手段にこだわらず、貢献にこだわる
私は、自分が提供する価値の本質を「経営支援」だと定義しています。そして、経営支援とは、顧客が抱える課題を解決し、事業の継続性を高め、社会への貢献を実現できるように伴走することです。
その手段が行政書士業務であることもあれば、AI活用支援であることもある。あるいは、その両方が組み合わさることもあります。しかし、いずれの場合も、私が目指しているのは「目の前の顧客に、本当に必要な価値を届けること」です。
これは、私の経営理念そのものでもあります。私は、顧客への貢献という理念を土台に、柔軟に、そしてスピーディーに、必要な支援を提供し続けたいと考えています。
もちろん、何でもかんでも手を広げるわけではありません。私には行政書士としての専門性があり、AIに関してもある程度の知識と実践経験があります。その範囲内で、最大限の貢献をする。それが私の責任であり、プロフェッショナルとしての矜持です。
顧客の羅針盤であり続けるために
経営者は、日々多くの判断を迫られます。どの制度を使うべきか、どのツールを導入すべきか、どの方向に進むべきか。その一つ一つが、事業の未来を左右します。
だからこそ、経営者には「信頼できる羅針盤」が必要です。単なる手続き代行業者ではなく、一緒に考え、一緒に悩み、一緒に前に進んでくれるパートナーが必要なのです。
私は、その役割を果たしたいと思っています。行政書士として、AI活用支援者として、そして何より「顧客に貢献するプロフェッショナル」として、目の前の人が抱える課題に真摯に向き合い続けたいのです。
変化の激しい時代だからこそ、柔軟であること、アップデートを恐れないこと、そして常に「誰かのためになるか」を判断基準とすることが重要です。私は、その姿勢を貫きながら、これからも顧客の羅針盤であり続けたいと思っています。
最後に
私は、これからも「なぜ行政書士なのにAIを?」と聞かれるでしょう。そのたびに、私はこう答えます。
「それは、経営支援だからです。手段ではなく、貢献こそが私の仕事の本質だからです」と。
あなたも、自分の「本質」を見つめ直してみてください。そこに、新しい可能性が広がっているかもしれません。
