横浜市の行政書士が語る、課題ヒアリングから始まる生成AI導入の本質(2026年8月9日)

横浜市の行政書士が語る、課題ヒアリングから始まる生成AI導入の本質(2026年8月9日)

真の価値提供は「AI導入」ではなく「課題解決」にある

私は行政書士として顧問契約を結ぶことが、顧問先との関係の入口になることが多いです。しかし、私の仕事は許認可申請や契約書作成といった士業の枠に留まりません。顧問先と対話を重ねる中で、その企業が抱える本質的な課題を徹底的にヒアリングします。そのうえで、生成AIが本当に有効な解決策となり得る場合に限って、導入・実装を提案しています。行政書士という入口から入っても、私が目指すのは顧問先の真の課題解決です。いきなり生成AIの導入を提案することはありません。

この姿勢には、私の経営思想の核となる考え方が色濃く反映されています。それは「顧客の羅針盤となり、顧客に貢献することを最優先とする」という信念です。技術ありきではなく、あくまでも顧客の課題解決こそが目的であり、生成AIはその手段に過ぎません。この順序を間違えると、良い仕事にはつながりません。

なぜ「ヒアリング」を最優先するのか

多くの企業が生成AIブームに乗り、導入を急いでいます。また、生成AIを展開する事業者もとても多いです。

しかし、私はそのような流れに安易に追随することを良しとしません。なぜなら、技術の導入そのものが目的化してしまうと、本来解決すべき課題が見えなくなるからです。

顧問先が抱える課題は、表面的な症状と根本的な原因が異なることが多々あります。たとえば「業務効率を上げたい」という要望の裏には、人手不足、属人化、業務プロセスの複雑化、情報共有の欠如など、さまざまな要因が潜んでいます。これらを丁寧にヒアリングしなければ、本質的な解決策を提案することはできません。

私が重視しているのは、対話と伴走です。信頼関係は一瞬ではなく、伴走と対話の積み重ねで築かれます。顧問先との関係も同じです。一度のヒアリングで全てを理解できるわけではありませんし、企業の課題は日々変化していきます。だからこそ、継続的な対話を通じて、その企業の現状、課題、目指す方向性を深く理解する必要があるのです。

このプロセスを省略して、いきなり「生成AIを導入しましょう」と提案することは、私にとっては無責任に映ります。それは単なる技術の押し売りであり、顧客のためになるとは思えません。

行政書士という立場から見える、本質的な課題

行政書士として顧問に入ると、企業の法務周辺業務に深く関わることになります。許認可の更新、契約書のチェック、各種届出、コンプライアンス対応。これらの業務を通じて、私は企業の内部事情を詳しく知る立場にあります。

そして、ここに大きな利点があります。法務や行政手続きという、企業にとって避けて通れない業務を担当することで、経営者や担当者と深い対話が自然に生まれるのです。許認可の相談をしている中で、「実は人手が足りなくて」「この業務が属人化していて」「情報管理に不安があって」といった本音が漏れてくることがあります。

私はそのような瞬間を見逃しません。それこそが、真の課題が顕在化する瞬間だからです。行政書士としての業務は入口に過ぎず、そこから見えてくる経営課題、業務課題にこそ、私が本当に貢献できる領域があります。

生成AIは「手段」であり「目的」ではない

私は生成AI×士業という領域に強い関心を持っていますが、それは生成AIそのものが素晴らしいという理由もありますが、それだけではありません。生成AIが、経営者が抱える多くの課題——業務の属人化、定型業務の負担、専門知識の伝達、顧客対応の迅速化など——を解決する有効な手段になり得るからです。

しかし、手段と目的を混同してはいけません。生成AIを導入すること自体が目標になってしまうと、導入後に「何も変わらなかった」「むしろ混乱が生じた」という結果を招きます。これは経営者としての判断力の欠如であり、顧客に対する責任を果たしていないことになります。

私が提案する生成AI導入は、必ず「この課題を解決するために、この技術を使う」という明確な目的と紐づいています。たとえば、契約書のレビュー業務に時間がかかりすぎているなら、生成AIを活用して初期チェックを自動化する。顧客からの問い合わせ対応に時間を取られているなら、FAQの自動生成や問い合わせ内容の要約に活用する。このように、課題と解決策が一対一で対応していることが重要です。

コンサルティングの質が、導入の成否を分ける

私の顧問先には、さまざまな業種・規模の企業があります。それぞれが異なる課題を抱えており、同じ解決策が通用することはほとんどありません。だからこそ、コンサルティングの質が導入の成否を左右します。

コンサルティングにおいて私が大切にしているのは、以下の三つです。

一つ目は、表面的な要望に惑わされないこと。 顧客が「AIを導入したい」と言ってきたとしても、その背景にある真の課題を見極める必要があります。本当に必要なのはAIではなく、業務フローの見直しかもしれませんし、社内の情報共有の仕組み改善かもしれません。顧客が言葉にしていない部分にこそ、本質的な課題が隠れています。

二つ目は、現場の声を聞くこと。 経営層の意向だけで導入を決めると、現場が使いこなせない、あるいは使う気にならないという事態が起こります。実際に業務を担当している人たちの意見を聞き、彼らが抱える具体的な困りごとを理解することで、導入後の定着率が格段に上がります。

三つ目は、導入後の伴走を前提とすること。 生成AIを導入して終わり、ではありません。導入後も継続的にサポートし、使い方の改善提案や新たな活用方法の提示を行うことで、初めて投資が成果に結びつきます。私は顧問先との関係を、一度きりの取引ではなく、長期的なパートナーシップとして捉えています。

信頼関係があるからこそ、本音を引き出せる

コンサルティングの質を高めるためには、顧問先との信頼関係が不可欠です。表面的な関係では、本音を引き出すことはできません。顧問先が「こんなことを言ったら恥ずかしいかもしれない」「この悩みは些細すぎるかもしれない」と感じていたら、本当に重要な課題は見えてきません。

信頼関係は一瞬ではなく、伴走と対話の積み重ねで築かれます。私は顧問先に対して、短期的な成果を急ぐのではなく、長期的な視点で関係を構築していくことを重視しています。定期的な面談、些細な相談にも真摯に対応する姿勢、約束したことは必ず守る誠実さ。こうした積み重ねが、信頼という土台を作ります。

そして、信頼関係があるからこそ、私は厳しいことも言えます。「今のままでは良くない」「この方向性は間違っている」といった指摘は、信頼がなければ受け入れてもらえません。しかし、顧問先のためを思って言っていることが伝われば、たとえ厳しい言葉でも受け止めてもらえます。

結びに:顧客の羅針盤として、共に歩む

私が行政書士としての顧問契約を入口としながらも、顧問先に対してコンサルティングを行い、課題をヒアリングしたうえで生成AI導入を提案しているのは、顧客の羅針盤となりたいからです。技術の波に飲まれず、本当に必要なものを見極め、顧客と共に前に進む。それが私の使命だと考えています。

生成AIは確かに強力なツールです。しかし、それを使いこなすためには、明確な課題認識、理念に基づいた判断、そして継続的な伴走が不可欠です。私はこれからも、顧問先一社一社と真摯に向き合い、対話を重ね、信頼関係を築きながら、最適な解決策を提案し続けていきます。

あなたが今、生成AIの導入を検討しているなら、まず立ち止まって考えてみてください。「なぜ導入したいのか」「どんな課題を解決したいのか」「それは本当に自社の理念と合致しているのか」。その問いに明確に答えられたとき、初めて導入は成功への第一歩を踏み出します。そして、その一歩を共に歩むパートナーがいれば、成功の確率はさらに高まるでしょう。

私は常に、顧客のために最善を尽くすことを約束します。それが、経営者としての私の責任であり、誇りです。