日本版DBSの事業者向けQ&A|横浜市の行政書士が疑問に回答(2026年8月12日)

日本版DBSの事業者向けQ&A|横浜市の行政書士が疑問に回答(2026年8月12日)

日本版DBSについて、「うちの事業所も対象になるの?」「アルバイトも確認が必要?」「今から何を準備すればいい?」と疑問をお持ちの事業者の方も多いのではないでしょうか。

いわゆる「日本版DBS」は、正式には「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律(こども性暴力防止法)」に基づく制度です。

こども性暴力防止法は2026年12月25日に施行される予定で、学校や保育所などの義務対象事業者のほか、一定の要件を満たして認定を受ける学習塾やスポーツクラブなどにも関係します。

制度のポイントは、単に従事者の性犯罪歴を確認すればよいというものではないことです。

対象となる事業者には、犯罪事実確認だけでなく、こどもへの性暴力を防止するための研修、相談体制の整備、早期把握、一定の場合における防止措置、犯罪事実確認に関する情報の適正管理など、さまざまな対応が求められます。

そこで今回は、横浜市で事業を営む方に向けて、日本版DBSについて事業者の方から多くいただく質問を、行政書士の視点からQ&A形式で解説します。

日本版DBSとは?まず押さえておきたい基本

日本版DBS(こども性暴力防止法)の概要

日本版DBSは、教育や保育など、こどもと接する場における性暴力を防止するための制度です。
「DBS」という言葉から、従事者の性犯罪歴を確認する制度だけをイメージされることがあります。

しかし、実際のこども性暴力防止法では、犯罪事実確認に加えて、こどもへの性暴力を未然に防ぐための措置や、早期発見・適切な対応のための体制整備などが求められています。

そのため、事業者としては「誰の犯罪事実を確認する必要があるのか」だけではなく、自社の採用、配置、研修、相談窓口、情報管理などを含めて制度への対応を検討する必要があります。

日本版DBSが導入される目的

こども性暴力防止法の大きな目的は、教育・保育などの場における児童対象性暴力等を防止し、こどもの安全を確保することです。

学校、保育所、学習塾、スポーツクラブなどでは、従事者とこどもが継続的に接する機会があります。
こうした環境において性暴力のリスクを低減するため、事業者側に一定の取組を求める仕組みが設けられました。

事業者にとっては新たな負担が生じる面もありますが、保護者やこどもが安心してサービスを利用できる環境を整備するという点でも重要な制度といえます。

事業者に求められる主な対応とは

具体的な対応は、事業者の種類や認定の有無などによって異なりますが、主なものとして次のような対応があります。

・対象となる従事者の犯罪事実確認
・児童対象性暴力等の防止に関する研修
・こどもが相談しやすい体制の整備
・児童対象性暴力等が行われるおそれを早期に把握するための措置
・一定の場合における従事者への防止措置
・犯罪事実確認に関する情報の適正な管理
・児童対象性暴力等が疑われる場合の調査や対応
・社内規程や就業規則などの整備

したがって、日本版DBSへの対応は人事担当者だけの問題ではありません。
経営者、人事・労務担当者、現場責任者などが連携し、自社の運営体制そのものを確認する必要があります。

日本版DBSで事業者から多くいただく質問

Q1. どのような事業者が日本版DBSの対象になりますか?

A. 日本版DBSでは、大きく分けて「義務対象となる事業者」と「認定を受けることができる事業者」があります。

学校や認可保育所などの「学校設置者等」は、法律に基づく措置が義務となります。
一方、学習塾、スポーツクラブなど一定の民間教育保育等事業者については、一定の要件を満たして国の認定を受けることによって、法律に基づく措置を講じることになります。

つまり、「こどもに関係する仕事をしている事業者は、すべて一律に義務対象」というわけではありません。
自社がどの区分に該当するのかを最初に確認することが重要です。

Q2. 学習塾やスポーツクラブも対象になりますか?

A. 一定の要件を満たす学習塾やスポーツクラブなどは、認定制度の対象となります。

たとえば、こどもに対して学習指導を行う学習塾や、技芸・スポーツなどの指導を行う事業について、法律上の要件に該当すれば認定対象となる可能性があります。

ただし、「学習塾という名称だから必ず対象」「スポーツクラブならすべて対象」という判断ではありません。
実際に提供しているサービスの内容、対象者、事業形態などを確認したうえで判断することが必要です。

Q3. 個人事業主や小規模な事業者も関係しますか?

A. 「個人事業主だから対象外」「従業員が少ないから対象外」と単純に判断することはできません。

重要なのは、法人の規模や従業員数だけではなく、どのような事業を行っているかです。

たとえば、小規模な教室であっても、こどもに対して継続的に学習やスポーツ、技芸などの指導を行っている場合には、認定対象事業に該当するかを確認しておく必要があります。

小規模事業者の場合、担当者を何人も配置することが難しいケースもあるため、実際の事業規模に合わせた体制づくりを検討することが重要です。

Q4. すでに働いている従業員も確認の対象になりますか?

A. 新規採用者だけが対象になるわけではありません。
法施行時にすでに対象業務に従事している方についても、犯罪事実確認が必要となる場合があります。

ただし、施行時の現職者については確認手続が一時期に集中することも想定されており、国から分散申請についての案内も出されています。

そのため、対象となる従事者を事前に洗い出しておくことが重要です。
「施行後に考えればよい」とするのではなく、誰が確認対象となるのかを施行前から整理しておくとよいでしょう。

Q5. アルバイトや業務委託スタッフも対象になりますか?

A. 雇用形態だけで一律に判断するものではありません。

正社員であるか、アルバイトであるか、業務委託であるかという契約上の名称だけではなく、その方が実際にどのような業務に従事するのかを確認する必要があります。

特に学習塾やスポーツクラブでは、大学生アルバイト、非常勤講師、外部インストラクターなど、さまざまな契約形態の方がこどもと接するケースがあります。

そのため、まずは自社で働く人を一覧化し、「契約形態」だけではなく「実際の業務内容」から対象者を整理することがポイントです。

Q6. 性犯罪歴は事業者が直接確認するのでしょうか?

A. 事業者が本人に戸籍や警察の犯罪歴資料を提出させて確認する、といった制度ではありません。
法に定められた犯罪事実確認の仕組みに基づいて手続を進めることになります。

また、こども性暴力防止法に関する各種手続は、原則として専用の関連システムを通じてオンラインで行われる予定です。

そのため、対象事業者は制度の手続方法だけでなく、システム利用に必要となる準備についても確認しておく必要があります。

Q7. 犯罪歴の確認結果はどのように取り扱えばよいですか?

A. 犯罪事実確認に関する情報は、極めて慎重な取扱いが求められる情報です。

「担当者なら誰でも見られる」「紙に印刷して通常の人事ファイルに入れておく」といった管理は避けなければなりません。
事業者には、情報管理規程の作成や、適切な情報管理体制の整備などが求められます。

誰が情報を取り扱うのか、どのようにアクセスを制限するのか、どのように記録を管理するのかなどを事前に決めておくことが大切です。

こども家庭庁から情報管理規程のひな型なども公表されていますので、これらを参考に自社の体制を整備するとよいでしょう。

Q8. 犯罪歴が確認された場合、事業者はどう対応すればよいですか?

A. 「犯罪歴が確認された=直ちに解雇」と単純に考えることは適切ではありません。

法律に基づき、児童対象性暴力等が行われるおそれがあると認められる場合には、その従事者を対象業務に従事させないことなど、必要な防止措置を講じることが求められます。
一方で、配置転換や採用、人事上の取扱いについては、労働関係法令との関係も検討する必要があります。

そのため、施行前に就業規則、採用時の募集要項、誓約書などを見直しておくことが重要です。

実際に判断が必要となった場合には、行政書士だけで完結させず、必要に応じて弁護士や社会保険労務士など、それぞれの専門分野に応じた専門家と連携して対応することも大切です。

Q9. 日本版DBSへの対応はいつから準備すればよいですか?

A. 施行直前ではなく、今から準備を進めることをおすすめします。

こども性暴力防止法の施行日は2026年12月25日です。
しかし、施行に向けて事業者が検討すべき事項は少なくありません。

たとえば、

・対象事業・対象従事者の確認
・従事者への制度周知
・就業規則等の確認
・採用方法の見直し
・相談窓口の整備
・研修計画の作成
・児童対象性暴力等対処規程の作成
・情報管理規程の作成
・情報管理責任者等の検討
・GビズIDなどシステム利用に向けた準備

などがあります。
特に複数の教室・施設を運営している事業者の場合、対象者の洗い出しだけでも時間がかかる可能性があります。

施行日から逆算して準備を進めることが大切です。

日本版DBSの対象事業者が準備しておきたいこと

自社が制度の対象になるかを確認する

最初に行いたいのが、自社の事業がこども性暴力防止法上どのような位置付けになるのかの確認です。
「こども向けサービスを提供している」というだけでは、具体的な義務や認定対象の判断まではできません。
事業内容、サービスの提供方法、こどもとの関わり方などを整理し、法令やガイドラインと照らし合わせて確認します。

従業員・スタッフの業務内容を整理する

次に、対象となる可能性がある従事者を整理します。
ここで重要なのは、正社員・アルバイト・業務委託などの肩書だけで分けないことです。
「誰が」「どこで」「どのような形でこどもと接しているのか」という実態を把握しましょう。
複数店舗や複数教室を展開している場合には、事業所ごとに整理すると分かりやすくなります。

社内規程や採用・配置のルールを確認する

日本版DBSへの対応では、採用後の犯罪事実確認だけを考えるのでは不十分です。
採用募集要項や誓約書、内定通知、就業規則などについても確認する必要があります。
こども家庭庁では、募集要項・求人票、誓約書・内定通知書、就業規則などの参考例を公開しています。

こうした資料を参考にしながら、自社の既存規程との整合性を確認しましょう。
なお、就業規則の具体的な変更や労務上の判断については、社会保険労務士や弁護士などの専門家への確認が必要となる場合があります。

個人情報を適切に管理できる体制を整える

犯罪事実確認に関する情報は、その性質上、漏えいや目的外利用を防ぐための厳格な管理が必要です。

「誰を情報管理責任者にするか」
「誰まで情報にアクセスできるようにするか」
「確認結果をどのように取り扱うか」
「従事者にどのような説明をするか」

といった点を具体的に決めておく必要があります。
制度開始直前になって担当者を決めるのではなく、社内の情報管理体制そのものを事前に確認しておきましょう。

横浜市の学習塾・スポーツクラブなどが注意したいポイント

認定制度の対象となる事業者を確認する

横浜市内には、学習塾、スポーツクラブ、各種教室など、こどもを対象とするさまざまな民間サービスがあります。
こうした事業者にとって特に確認しておきたいのが「認定制度」です。

認定対象となる事業者は、法律上の要件を満たしたうえで認定を受けることで、犯罪事実確認を含む法律に基づく取組を行うことになります。

認定事業者は、国が定める「認定事業者マーク(こまもろうマーク)」を事業広告などに表示できるようになります。

保護者が教室やサービスを選択する際、「こどもの安全のための取組を行っている事業者か」という視点が、今後より重視される可能性があります。

複数の教室や施設を運営している場合の考え方

横浜市内だけで複数教室を運営している場合や、横浜市と川崎市、東京都など複数地域に事業所がある場合には、法人全体と各事業所の関係を整理しておくことも大切です。

本部では制度を理解していても、各教室の責任者や現場スタッフまで運用方法が共有されていなければ、実際の対応で混乱する可能性があります。

対象従事者の把握、研修、相談窓口、報告ルートなどについて、現場で運用できる仕組みに落とし込んでおきましょう。

アルバイト・外部講師などが多い事業者の注意点

学習塾やスポーツクラブでは、学生アルバイトや外部講師が多く在籍しているケースがあります。
年度替わりや学期ごとに人員が入れ替わる事業者では、新たに対象業務へ従事する人を漏れなく把握する仕組みも必要です。

採用担当者だけが制度を理解するのではなく、現場責任者まで「どの業務が対象となるのか」「新しいスタッフが入った場合に誰へ報告するのか」といった運用ルールを共有しておくことが重要です。

行政書士に寄せられる日本版DBSの相談とサポート

自社が対象となるか判断できない場合

日本版DBSについて最初につまずきやすいのが、「そもそも自社は関係するのか」という点です。
事業者の名称だけで判断するのではなく、実際の事業内容を法令上の要件に当てはめて確認する必要があります。

行政書士に相談する際には、

・提供しているサービス
・利用者の年齢
・こどもへの指導内容
・従業員の構成
・各従事者の業務内容
・事業所の数

などを整理しておくと相談がスムーズです。

認定申請に向けて準備すべき事項

認定対象事業者の場合、認定申請は2026年12月25日の法施行日から行うことができます。

「施行されたら申請書だけ提出すればよい」というわけではなく、認定後に法律上求められる取組を実施できるよう、あらかじめ体制を整えておく必要があります。

そのため、認定を検討している事業者は、施行前の段階から必要な準備事項を確認しておくことをおすすめします。

必要書類や社内体制の整備を進める際のポイント

日本版DBSへの対応では、さまざまな書類や規程が関係します。
こども家庭庁からは、児童対象性暴力等対処規程、募集要項・求人票、誓約書・内定通知書、就業規則、情報管理規程などについて、ひな型や参考例が公開されています。
ひな型があるからといって、そのまま社名だけ変更すればよいとは限りません。
実際の事業内容、組織体制、従業員数、現場での運用方法などに合わせて検討することが重要です。

行政書士などの専門家を活用する場合も、「書類を作って終わり」ではなく、実際に運用できる体制をつくるという視点を持つことをおすすめします。

日本版DBSについてよくある質問(FAQ)

日本版DBSに対応しないと罰則はありますか?

義務対象事業者と認定対象事業者では、制度上の位置付けが異なります。
学校や認可保育所などの義務対象事業者には、法律に基づく措置が義務付けられます。

一方、学習塾やスポーツクラブなどの認定対象事業者については、認定を受けるかどうかという入口の部分から義務対象事業者とは仕組みが異なります。

したがって、「日本版DBSに対応しないと一律に罰則」という理解ではなく、自社がどの区分に該当し、どの義務が課されるのかを確認することが重要です。

認定を受けるとホームページなどで表示できますか?

はい。認定を受けた事業者は「認定事業者マーク(こまもろうマーク)」を事業広告などに表示できるようになります。
また、認定事業者の情報は、こども家庭庁のウェブサイトにも掲載される予定です。

そのため、認定を受けることは、保護者やこども、求職者などに対して、法に基づく性暴力防止の取組を行っていることを示す一つの方法となります。

認定後も継続して対応が必要ですか?

はい。認定は「取得して終了」という制度ではありません。
認定事業者は、認定後、法律に基づいて必要な措置を継続して実施することになります。

犯罪事実確認だけでなく、研修、相談体制、情報管理などについても、継続的に運用できる仕組みを構築することが重要です。

横浜市の事業者はどこに相談すればよいですか?

まずは、こども家庭庁が公開している最新のガイドラインやQ&Aを確認することをおすすめします。

そのうえで、「自社の事業が対象になるのか分からない」「認定申請に向けて何を準備すればよいのか整理したい」「必要な書類を整備したい」といった個別の課題がある場合には、取扱業務の範囲に応じて行政書士などの専門家への相談を検討するとよいでしょう。

労務問題については社会保険労務士、解雇などの法的紛争や法律判断については弁護士など、相談内容に応じて適切な専門家につなぐことも重要です。

まとめ|横浜市で日本版DBSへの対応を検討している事業者の方へ

日本版DBS(こども性暴力防止法)は、2026年12月25日に施行される予定です。
学校や保育所などの義務対象事業者だけでなく、学習塾やスポーツクラブなどの民間事業者にとっても、今後重要な制度となります。

特に確認しておきたいポイントは、

・自社が義務対象・認定対象となるのか
・どの従事者が犯罪事実確認の対象となるのか
・施行までにどのような体制を整える必要があるのか
・必要な規程や書類は何か
・犯罪事実確認に関する情報をどのように管理するのか

という点です。

「まだ施行前だから」と準備を後回しにすると、対象従事者の洗い出しや社内規程の整備、従業員への周知などが施行直前に集中してしまう可能性があります。

横浜市で学習塾、スポーツクラブ、各種教室などを運営し、日本版DBSへの対応や認定申請を検討されている事業者の方は、まず自社が制度上どの位置付けになるのかを確認するところから始めましょう。

制度への対応方法や認定申請、必要書類の準備などについて分からないことがある場合は、日本版DBSに関する手続きを取り扱う当事務所へお気軽にご相談ください。

※本記事は2026年8月時点の法令、こども家庭庁のガイドライン・公表資料等をもとに一般的な情報を解説したものです。個別の事案については、最新の法令・ガイドライン等をご確認ください。