神奈川県の飲食店開業で使える補助金5選|行政書士が解説(2026年8月21日)

神奈川県の飲食店開業で使える補助金5選|行政書士が解説(2026年8月21日)

神奈川県で飲食店を開業しようとすると、店舗の取得費や内装工事費、厨房設備費、POSレジなどのシステム導入費、広告宣伝費など、さまざまな費用がかかります。

「飲食店の開業に使える補助金はないだろうか」
「厨房設備や内装工事も補助対象になる?」
「神奈川県独自の補助金も利用できる?」

このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

飲食店の開業や開業後の設備投資では、条件を満たせば国や神奈川県などの補助金を利用できる可能性があります。

ただし、「飲食店を開業する」という理由だけで補助金を受け取れるわけではありません。それぞれの制度には対象者、対象事業、対象経費、申請期限などが定められています。

また、補助金によっては交付決定前に契約・発注・購入すると補助対象外となることもあります。そのため、店舗の工事や設備購入を始める前に、利用できる制度を確認しておくことが重要です。

この記事では、神奈川県で飲食店の開業を検討している方に向けて、利用を検討できる補助金や申請時の注意点について行政書士が解説します。

※補助金の名称、対象者、対象経費、公募期間などは年度や公募回によって変更されます。実際に申請する際は、必ず最新の公募要領をご確認ください。

飲食店の開業で補助金は使える?

飲食店の開業時には、一定の条件を満たすことで補助金を活用できる場合があります。
ただし、補助金の多くは単純に「開業費用を補填する制度」ではありません。
たとえば、販路開拓、IT化、生産性向上、省力化など、それぞれの補助金に政策上の目的があります。

その目的に合った事業計画を作成し、審査を受ける必要があります。

補助金と助成金・融資の違い

飲食店の開業資金を考える際には、「補助金」「助成金」「融資」の違いを理解しておきましょう。

補助金は、国や自治体などが政策目的に沿った事業を支援する制度です。申請すれば必ず受給できるものではなく、審査や採択が行われる制度が多くあります。

助成金も原則として返済不要ですが、雇用・労働関係の制度が多く、一定の要件を満たした事業者を対象とするものがあります。

一方、融資は金融機関などから資金を借りる制度なので、原則として返済が必要です。

飲食店を開業する際には、自己資金だけでなく、融資を中心に資金計画を立てながら、利用できる補助金があれば組み合わせるという考え方が現実的です。

飲食店開業で補助対象になりやすい経費

制度によって異なりますが、飲食店では次のような支出が補助対象となる可能性があります。

  • 店舗設備や機械装置の導入費
  • POSレジや会計・予約システムなどのITツール導入費
  • 省力化につながる設備の導入費
  • ホームページ制作などの販路開拓費
  • 店舗改装など一定の工事費

重要なのは、「飲食店で使うものなら何でも補助される」というわけではないことです。
対象経費は補助金ごとに細かく定められているため、公募要領を確認したうえで判断する必要があります。

開業前に申請が必要な補助金に注意

補助金を利用する際、特に注意したいのが契約や発注のタイミングです。
多くの補助制度では、一定の基準日より前に契約・発注・購入したものは補助対象になりません。

「補助金を使えると思って厨房機器を先に購入したら対象外だった」ということにならないよう、補助金の利用を考えている場合は、設備購入や工事契約をする前に申請条件を確認しましょう。

神奈川県の飲食店開業で使える補助金5選

ここからは、神奈川県で飲食店を開業する方や、開業後に設備投資を行う方が検討したい主な補助制度を紹介します。
なお、制度によっては「これから初めて開業する方」は対象にならず、すでに事業を開始していることなどが要件になる場合があります。

1.小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が行う販路開拓等の取組を支援する代表的な補助制度です。

飲食店の場合には、新規顧客を獲得するための広告宣伝や店舗改装など、事業内容によって活用を検討できるケースがあります。
ただし、補助対象となるかどうかは、申請する公募回の要件や経費区分、事業計画によって異なります。

また、創業予定者や創業間もない事業者については、申請時点での事業状況などによって対象可否が変わる可能性があります。

「飲食店を開業するから申請できる」と判断せず、最新の公募要領で申請資格を確認しましょう。

2.デジタル化・AI導入補助金

2026年度は「デジタル化・AI導入補助金2026」として、中小企業・小規模事業者等によるITツールの導入を支援する制度が実施されています。

飲食店では、対象となるITツール等の要件を満たせば、POSシステム、会計・受発注・決済関連システムなどの導入時に利用を検討できます。

重要なのは、自分で好きなソフトや機器を購入すれば補助される制度ではないという点です。
申請方法や対象となるITツールなどについて制度上のルールが設けられているため、導入予定のシステムが対象になるかを事前に確認する必要があります。

3.中小企業省力化投資補助金

人手不足に悩んでいる飲食店で注目したいのが「中小企業省力化投資補助金」です。
この制度は、中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするため、人手不足の解消につながる設備導入などを支援するものです。

「カタログ注文型」と「一般型」があり、一般型では、個々の現場や事業内容に応じた設備導入・システム構築などの省力化投資が支援対象となっています。

たとえば、人手不足の解消や業務効率化につながる設備を飲食店に導入したい場合には、検討する価値があります。

2026年8月時点で、一般型の第8回公募が2026年8月18日に開始されており、申請受付開始は9月中旬、締切は10月中旬の予定です。

申請にはGビズIDプライムアカウントが必要と案内されているため、利用を検討する場合には早めに準備しておきましょう。

4.神奈川県「中小企業生産性向上促進事業費補助金」

神奈川県内で飲食店を営む方が特に確認したいのが、神奈川県独自の「中小企業生産性向上促進事業費補助金」です。

2026年度は、生産性向上につながる設備導入等を支援する制度として、「一般枠」「グループ化支援枠」「創業者成長支援枠」が設けられています。

なかでも創業者成長支援枠は、2023年4月1日以降に創業した県内中小企業者等が対象で、補助率は3分の2以内、補助上限額は最大300万円とされています。

ただし、申請日時点で神奈川県内の事業所において実態のある事業を営んでいることなどの要件があります。そのため、「これから店舗を開業する方」がそのまま利用できるとは限りません。

2026年8月時点で、一般枠の8月公募および創業者成長支援枠の申請期限はいずれも2026年8月31日17時までとされています。

創業者成長支援枠では、地域の支援機関による伴走支援を受けることなども要件になっていますので、公募要領を十分に確認してください。

5.神奈川県や市町村が実施する創業・デジタル化等の支援制度

神奈川県で飲食店を開業する場合、国の補助金だけを見るのではなく、県や店舗所在地の市町村が実施している制度も確認しましょう。
たとえば神奈川県では、2026年度に「小規模事業者デジタル化支援推進事業費補助金」も実施されています。

県内の小規模事業者によるデジタル化に向けたシステム等の導入を支援するもので、2026年度の公募期間は4月15日から9月30日までとされています。ただし、先着順で、予算額に達した場合は公募終了となります。

また、横浜市、川崎市、相模原市、藤沢市、横須賀市など、店舗を開業する市町村によって利用できる創業支援策が異なる場合があります。

物件を決めたら「神奈川県の制度」だけでなく、「店舗所在地の市町村の制度」まで調べることをおすすめします。

飲食店の開業ではどんな費用が補助対象になる?

飲食店の開業には多額の費用がかかります。
ただし、補助対象になる費用は制度によって大きく異なります。

店舗の内装・改装費

飲食店では、厨房の設置、客席の整備、給排水工事、電気工事などの店舗工事が必要になる場合があります。
制度によっては、販路開拓や生産性向上など補助事業の目的を達成するために必要な改装費等が対象となる可能性があります。

一方、単純な店舗取得費や敷金・保証金などは対象外となる制度もあります。
「内装工事=補助対象」と考えるのではなく、利用する制度の対象経費を確認してください。

厨房機器・設備の導入費

冷蔵庫、冷凍庫、食器洗浄機、調理機器など、飲食店では多くの厨房設備が必要です。
設備投資型の補助金では、事業目的や要件を満たす機械装置等が対象になる場合があります。

特に、人手不足対策や生産性向上を目的とする制度では、「その設備を導入することで作業時間がどの程度削減されるのか」などを具体的に説明することが重要になります。

POSレジや予約・注文システムの導入費

POSレジ、予約管理、モバイルオーダー、会計システムなどは、飲食店のデジタル化や省力化につながります。

IT・デジタル化を支援する補助金では、対象ITツールや対象経費の条件を満たせば補助対象となる可能性があります。
スタッフが注文を取る時間を減らす、会計作業を効率化する、売上データを分析するといった具体的な効果を考えて導入しましょう。

ホームページ・チラシなどの広告宣伝費

新しく飲食店を開業しても、お客様に店舗の存在を知ってもらわなければ売上にはつながりません。
補助制度によっては、新規顧客獲得などの販路開拓を目的としたホームページ、チラシ、広告などの費用が対象となる場合があります。
ただし、ウェブサイト関連費には独自の制限が設けられることもあるため注意が必要です。

補助対象にならない費用にも注意

補助金では、事業に関係する支出であっても対象外になるものがあります。
また、対象となり得る経費でも、指定された期間外に発注・契約・支払いを行った場合には補助されないことがあります。
そのため、補助金を前提として高額な設備を購入する前に、対象経費と対象期間の両方を確認することが重要です。

神奈川県で飲食店開業の補助金を探す際のポイント

飲食店の開業に利用できる補助金を探す場合には、「飲食店 補助金」と検索するだけでは十分ではありません。
国・県・市町村という3つの視点で探してみましょう。

国・神奈川県・市町村の制度をそれぞれ確認する

まずは、小規模事業者持続化補助金、デジタル化・AI導入補助金、中小企業省力化投資補助金など、国が実施している制度を確認します。

次に、神奈川県独自の補助制度を確認します。

さらに、横浜市や川崎市など、実際に店舗を構える市町村の創業支援制度を調べます。

この3段階で探すことで、自店に合った制度を見つけやすくなります。

店舗所在地によって利用できる補助金が異なる

「神奈川県で飲食店を開業する」といっても、横浜市に出店する場合と小田原市に出店する場合では、利用できる自治体の支援策が異なる可能性があります。
物件が決まっている場合は、市町村名まで含めて補助制度を探しましょう。
また、商工会・商工会議所などで創業相談を受けられる場合もあります。

最新の公募期間・募集要件を必ず確認する

補助金情報で最も注意したいのが「古い情報」です。
インターネット上には、前年以前の補助金情報も多く残っています。
補助率や上限額が同じように見えても、対象経費や申請要件、締切日などが変更されている場合があります。

申請を検討するときは、必ず国・自治体・補助金事務局などの公式サイトで最新の公募要領を確認しましょう。

行政書士が解説する飲食店の補助金申請で失敗しないポイント

補助金は、申請書を提出すれば自動的にもらえるものではありません。
申請前の準備から事業完了後の実績報告までを見据えて進める必要があります。

補助金ありきで事業計画を作らない

まず重要なのは、「補助金が出るから設備を買う」という考え方をしないことです。
本来必要なのは、

「どのような飲食店にするのか」
「どのようなお客様をターゲットにするのか」
「どの程度の売上を目指すのか」
「現在または将来どのような経営課題があるのか」

といった事業計画です。

そのうえで、課題解決に必要な設備投資等について利用できる補助金を探します。
補助金を目的にするのではなく、事業計画を実現する手段の一つとして考えることが大切です。

採択前・交付決定前の契約や発注に注意する

補助金申請でよく注意が必要になるのが、契約・発注のタイミングです。
制度によっては、交付決定前に契約や発注をすると補助対象外になります。

一方、神奈川県の2026年度中小企業生産性向上促進事業費補助金のように、所定の事前着手届を申請時に提出した場合に限り、申請日から補助事業への着手を認める制度もあります。

ただし、事前着手をしたからといって採択や補助金交付が保証されるわけではありません。
必ず利用する制度のルールを確認してください。

見積書や事業計画書などを早めに準備する

補助金の申請では、事業計画書、見積書、決算・税務関係書類など、さまざまな資料が必要になる場合があります。
また、電子申請にGビズIDプライムが必要となる制度もあります。
締切直前になって準備を始めると、必要書類がそろわず申請できないことも考えられます。
利用したい補助金を見つけたら、まず「申請期限」と「必要書類」を確認しましょう。

補助金は原則として後払いと考えて資金計画を立てる

補助金は、採択されたその日に現金が振り込まれるわけではありません。
一般的には、交付決定後に補助事業を実施し、設備等の代金を支払い、実績報告を行い、審査・補助額の確定を経て補助金が支払われます。

つまり、一時的には事業者自身で資金を用意しなければならないケースがあります。

飲食店開業では内装工事や設備費など大きな支出が発生するため、補助金だけに頼らず、自己資金や融資を含めた資金繰りを考える必要があります。

採択されても必ず全額が補助されるとは限らない

補助金には「補助率」と「補助上限額」が設定されています。
たとえば補助率が3分の2であっても、すべての支出の3分の2が無条件で支給されるわけではありません。

対象外経費が含まれていた場合や、実績報告で適切な証拠書類を提出できなかった場合などには、申請時に想定していた金額より補助額が少なくなる可能性があります。
領収書、請求書、振込記録など、必要な証拠書類を適切に保存することも重要です。

神奈川県で飲食店を開業する際に必要な許可・届出

飲食店の開業では、補助金だけでなく許認可についても忘れてはいけません。

飲食店営業許可の取得

一般的な飲食店を営業するためには、食品衛生法に基づく飲食店営業許可が必要です。
店舗を完成させてから「設備基準を満たしていなかった」と気付くと、追加工事が必要になる可能性があります。
そのため、物件契約や内装工事を進める際には、営業許可の要件についても早い段階で確認することが重要です。

食品衛生責任者の設置

飲食店を営業する場合、原則として施設ごとに食品衛生責任者を定める必要があります。
調理師や栄養士など一定の資格を持っている方のほか、所定の養成講習会を受講することで資格要件を満たせる場合があります。
開業日から逆算して準備しておきましょう。

深夜に酒類を提供する場合に必要となる届出

バーや居酒屋などで、深夜0時以降に主として酒類を提供する営業を行う場合には、営業形態や地域等によって、警察署への「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出」が必要になることがあります。

飲食店営業許可とは別の手続きですので注意しましょう。

店舗の営業形態によって必要な手続きを確認する

飲食店といっても、カフェ、居酒屋、バー、レストラン、ラーメン店など営業形態はさまざまです。
提供するサービスや営業時間などによって必要な許可・届出が変わる場合があります。
「他の飲食店がこの手続きだけだったから、自分の店も同じ」と考えず、自店の営業内容に合わせて確認することが大切です。

飲食店開業の補助金についてよくある質問

開業前でも補助金を申請できますか?

制度によって異なります。
創業予定者を対象に含む制度もあれば、申請時点ですでに事業を営んでいることを要件としている制度もあります。
特に神奈川県独自の補助金を検討する場合は、県内での事業実態や創業時期などの要件を確認してください。

個人事業主でも補助金を利用できますか?

個人事業主が対象に含まれる補助制度はあります。
ただし、事業規模、従業員数、所在地、創業時期などの要件が設定されていることがあります。
法人でなければ補助金を使えないとは限りませんので、個別の公募要領を確認しましょう。

店舗の内装工事は補助対象になりますか?

補助金によって異なります。
一定の店舗改装等を対象とする制度がある一方で、対象にならない制度や、対象となる工事内容が限定されている制度もあります。
内装工事を補助金で行いたい場合は、工事契約をする前に対象可否を確認することをおすすめします。

厨房機器の購入にも補助金を使えますか?

厨房機器についても、補助事業の目的や対象経費の要件に該当すれば対象になる可能性があります。

ただし、「冷蔵庫が必要だから買う」というだけではなく、その設備投資が補助制度の目的にどう結び付くのかが重要です。

特に生産性向上や省力化を目的とする補助金では、設備導入による具体的な効果を説明できるようにしましょう。

補助金と融資を併用することはできますか?

補助金と融資は性質が異なるため、併用できるケースがあります。
むしろ、補助金は後払いとなるものが多いため、補助事業を実施するための資金を融資等で準備することも考えられます。
ただし、補助金同士の併用については、同じ経費への重複申請が禁止されていることが一般的です。

個別の制度の併用可否については、公募要領を確認してください。

まとめ|神奈川県で飲食店を開業するなら補助金を早めに確認しよう

神奈川県で飲食店を開業する場合、国や神奈川県、市町村の補助制度を利用できる可能性があります。

特に確認しておきたいのは、次のような制度です。

  • 小規模事業者持続化補助金
  • デジタル化・AI導入補助金
  • 中小企業省力化投資補助金
  • 神奈川県中小企業生産性向上促進事業費補助金
  • 神奈川県・各市町村のデジタル化・創業等の支援制度

ただし、補助金には申請期限があります。

さらに、交付決定前に発注・契約すると対象外になる制度もあるため、「店舗を作り始めてから補助金を探す」のでは遅いケースがあります。
物件選び、事業計画、資金調達、内装工事、設備導入、営業許可などを一体的に考え、早めに準備を始めることが大切です。

神奈川県の飲食店開業・補助金申請は行政書士へご相談ください

飲食店を開業するためには、資金を準備するだけではなく、営業許可などの行政手続きも必要です。

また、補助金を利用する場合には、公募要領を確認し、自店が対象になるか、どの経費が対象になるか、いつから契約・発注できるかなどを整理する必要があります。

補助金申請や許認可手続きについて不明な点がある場合には、行政書士などの専門家に相談することも一つの方法です。

神奈川県で飲食店の開業を検討している方は、店舗の工事や設備購入を進める前の段階から準備を始めましょう。

※本記事は2026年8月時点の情報をもとに作成しています。補助金制度は変更・終了する場合があります。申請にあたっては、必ず各制度の最新の公募要領・公式情報をご確認ください。