こども性暴力防止法(日本版DBS)でスポーツクラブはどう変わる?神奈川の行政書士が解説(2026年10月1日)

こども性暴力防止法(日本版DBS)でスポーツクラブはどう変わる?神奈川の行政書士が解説(2026年10月1日)

「日本版DBSが始まると聞いたけれど、スポーツクラブも対象になるのだろうか」
「認定を受けるのは義務なのか、それとも任意なのか」

神奈川県で子ども向けのスポーツクラブやスポーツ教室を運営している事業者の中には、このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

2026年12月25日から、「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」、いわゆる「こども性暴力防止法」が施行されます。

この制度は「日本版DBS」と呼ばれることもありますが、単に従業員の性犯罪歴を確認するだけの制度ではありません。

子どもへの性暴力を防止するため、対象となる事業者に対して、犯罪事実確認をはじめ、研修、早期把握、相談体制、安全確保措置などを求める包括的な仕組みです。

そして、子どもを対象とするスポーツクラブについても、一定の要件を満たせば国の認定制度の対象となります。

この記事では、神奈川県のスポーツクラブやスポーツ教室の運営者に向けて、

・スポーツクラブは日本版DBSの対象になるのか
・認定を受ける義務があるのか
・認定を受けると何が変わるのか
・認定を検討する際に確認しておきたいポイント

について、行政書士の視点から分かりやすく解説します。

こども性暴力防止法(日本版DBS)とは

こども性暴力防止法は、教育や保育など子どもと接する事業において、児童対象性暴力等を防止するための制度です。
法律は2024年6月19日に成立し、同月26日に公布されました。施行日は2026年12月25日です。
一般には「日本版DBS」という呼び方が広く知られています。

しかし、事業者にとって重要なのは「性犯罪歴を確認すれば対応完了」という制度ではない点です。

犯罪事実確認に加え、従事者への研修や児童対象性暴力等の早期把握、相談体制の整備、必要な安全確保措置など、組織として子どもを性暴力から守る仕組みを構築することが重要になります。

日本版DBSが導入された目的

スポーツ指導を含め、子どもと大人が継続的に接する場では、指導者と子どもの間に一定の力関係が生じることがあります。

そのため、個々の指導者の良識だけに任せるのではなく、事業者として性暴力を防止し、問題を早期に把握して対応できる体制を整えることが重要です。

こども性暴力防止法は、このような安全確保の取組を制度として進めるものといえます。

制度の対象となる事業者と「認定事業者」の違い

こども性暴力防止法では、大きく分けて、法律上の措置を講じる義務が課される事業者と、一定の要件を満たした場合に国の認定を受けることができる事業者があります。

学校や認可保育所などは義務の対象です。

一方、学習塾やスポーツクラブなど一定の民間事業者については、要件を満たせば認定を受けることができる制度が設けられています。

つまり、一般的な民間スポーツクラブについては、「子どもを指導しているから直ちに義務対象になる」と考えるのではなく、自社の事業内容と法律上の区分を確認する必要があります。

日本版DBSでは何を確認するのか

日本版DBSで特に注目されているのが「犯罪事実確認」です。

ただし、前述のとおり、犯罪事実確認だけが制度の内容ではありません。
認定を受けた事業者には、犯罪事実確認を含め、子どもへの性暴力を防止するための各種措置を継続して実施することが求められます。

したがって、「スタッフの犯罪歴を一度確認すれば終わり」という理解は適切ではありません。

スポーツクラブは日本版DBSの対象になる?

スポーツクラブの経営者にとって最も気になるのが、「自分のクラブは対象なのか」という点でしょう。
こども家庭庁は、国の認定を受ける民間事業者の例として「学習塾やスポーツクラブなど」を明示しています。

したがって、子ども向けのスポーツクラブは、一定の要件を満たす場合、認定制度の対象となり得ます。

子ども向けスポーツクラブが認定対象となるケース

ポイントとなるのは、単に「スポーツ」という名称が付いているかどうかではありません。
実際にどのような事業を行い、誰を対象として、どのような形でサービスを提供しているのかを確認する必要があります。

特に、

・子どもを対象とした指導を行っている
・子どもと指導者が継続的に接する
・一定の教育的・技術的指導を行っている

といったスポーツクラブでは、認定制度との関係を確認しておくことが重要です。

スイミング・体操・サッカー・ダンス教室などはどうなる?

「スポーツクラブ」といっても、その形態はさまざまです。

神奈川県内にも、

・スイミングスクール
・体操教室
・サッカースクール
・テニススクール
・バスケットボールスクール
・ダンススクール
・武道教室

など、子どもを対象とした多くの教室があります。

制度への該当性を判断するときは、名称だけではなく、法律や政省令等で定められた要件と実際の事業内容を照らし合わせて判断することが必要です。

そのため、「うちはスポーツクラブだから対象」「個人経営の教室だから対象外」などと名称や事業規模だけで判断しないようにしましょう。

大人向けスポーツジムとの違い

成人のみを対象とした一般的なトレーニングジムと、子ども向けスクールを運営しているスポーツクラブでは、制度との関係が異なります。

一方で、大人向けフィットネスクラブであっても、同じ施設内でキッズスイミングやジュニアスクールなどを運営しているケースがあります。

このような場合には、会社全体を漠然と見るのではなく、「どの事業が認定対象になり得るのか」という視点で整理することが重要です。

スポーツクラブに日本版DBSの認定義務はある?

ここは特に誤解しやすいポイントです。
一般的な民間のスポーツクラブは、学校や認可保育所等と同じように一律に認定取得を義務付けられるものではありません。
スポーツクラブなどの一定の民間事業者には、国による「認定」の仕組みが設けられています。

「認定を受けられる」と「認定を受けなければならない」は違う

認定対象となるスポーツクラブだからといって、直ちに「認定を取得しなければ違法になる」という意味ではありません。

この違いは非常に重要です。

一方で、認定を受けるのであれば、国が定める基準に適合し、その後も必要な措置を実施していく必要があります。

そのため、「取れるならとりあえず取っておこう」という性質の認定ではなく、認定後の運用まで考えたうえで判断することが重要です。

認定を受けない場合に考えておきたいポイント

認定が任意であることと、子どもの安全対策を何もしなくてよいことは別問題です。

子どもを預かり、継続的に指導するスポーツクラブであれば、認定の有無にかかわらず、安全管理は重要な経営課題です。

また、制度の施行後に認定事業者が増えていけば、保護者がスポーツクラブを選ぶ際に「認定を受けているか」を確認する場面が生じることも考えられます。

自社の利用者や保護者が安全対策に何を求めているのかも踏まえて検討するとよいでしょう。

日本版DBSの認定を受けるとスポーツクラブはどう変わる?

認定を検討するときに重要なのは、認定証やマークを取得することだけに注目しないことです。
認定後には、法律に沿った継続的な運用が必要となります。

従業者等の犯罪事実を確認する仕組み

認定事業者では、法律に基づいて対象となる従事者について犯罪事実確認を行うことになります。

スポーツクラブの場合、正社員のコーチだけを見ればよいとは限りません。
アルバイト、業務委託のインストラクターなど、さまざまな契約形態のスタッフが子どもの指導に関わっているケースがあります。
こども家庭庁のガイドラインでも、派遣労働者や個人業務受託者等を含めた対応が示されています。

そのため、まずは「誰が子どもと接する業務に従事しているのか」を整理することが実務上重要です。

採用時だけではない継続的な安全確保の取組

日本版DBSへの対応を採用時のチェックだけで考えると、制度の全体像を見失ってしまいます。

性暴力を未然に防止するための取組に加え、問題の兆候を早期に把握し、相談があった場合に適切に対応する体制も必要になります。

例えば、指導現場において、

「子どもと指導者が二人きりになる状況はないか」
「保護者や子どもが相談できる窓口が明確になっているか」
「問題を把握したスタッフが誰に報告するのか」

などを改めて確認する機会にもなります。

研修・相談体制・安全確保措置など事業者に求められる対応

認定事業者には、対象となる従事者への研修も重要になります。

こども家庭庁は、従事者向けの標準的な研修動画・資料だけでなく、事業者の担当者向けに研修の実施方法や体制整備、記録管理、評価・見直しなどを整理した「研修の手引き」も公開しています。

つまり、制度への対応は経営者や人事担当者だけで完結するものではありません。
現場で子どもと接するコーチやインストラクターまで含め、組織として共通認識を持つことが大切です。

個人情報や犯罪事実確認に関する情報を適切に管理する

犯罪事実確認に関する情報は、極めて慎重な取扱いが求められる情報です。

そのため、

・誰が情報を取り扱うのか
・どのようにアクセスを制限するのか
・どのような記録を残すのか
・情報をどのように管理するのか

といった情報管理体制も検討しなければなりません。
こども家庭庁は情報管理規程のひな型や権限設定表なども公開しています。

小規模なスポーツクラブの場合、専任の法務部や人事部がないことも珍しくありませんので、施行直前になって慌てないよう早めに体制を整理しておくことが重要です。

スポーツクラブが日本版DBSの認定を受けるメリットと負担

では、スポーツクラブは認定を受けた方がよいのでしょうか。
これは各クラブの事業内容、規模、スタッフ体制などによって判断が異なります。
メリットだけでなく、認定後の負担も含めて検討する必要があります。

子どもの安全確保と保護者からの信頼

最も重要なのは、子どもへの性暴力を防止するための仕組みを組織として整備できることです。
犯罪事実確認だけではなく、研修や相談体制などを含めた安全対策を整えることは、子どもを守ることにつながります。
また、その取組を保護者へ適切に説明することで、クラブの安全方針を理解してもらいやすくなるでしょう。

認定事業者であることを表示できるメリット

国の認定を受けた事業者は「認定事業者マーク」を表示することができます。

こども家庭庁は認定を受けた事業者を公表するとしており、子どもや保護者が性暴力防止に取り組む事業者を知るための仕組みが用意されています。

神奈川県内で複数のスポーツクラブが競合している地域では、安全対策について保護者に説明する一つの材料となる可能性があります。

ただし、この認定は事業そのもののサービス品質や指導力全般を国が保証する制度ではありません。
認定の意味を正確に理解したうえで表示・説明することが大切です。

認定後に生じる事務・管理上の負担

一方、認定には相応の実務負担も伴います。

犯罪事実確認だけでなく、従事者の把握、研修、相談体制、各種規程の整備、情報管理など、継続的な対応が必要になるからです。

特に多数のアルバイトコーチや外部インストラクターを抱えるスポーツクラブでは、「対象者を誰が管理するのか」「入退社・契約変更をどう把握するのか」といった運用面も検討する必要があります。

認定取得だけを目的にせず継続的な運用体制を考える

日本版DBSへの対応では、「認定を取得するまで」ではなく「認定後に運用できるか」という視点が重要です。
立派な規程を作成しても、現場のスタッフが内容を理解していなければ十分とはいえません。
自社の規模や組織体制に合わせて、実際に運用できる仕組みを作ることが大切です。

神奈川県のスポーツクラブは日本版DBSの認定を受けるべき?

認定を受けるかどうかについて、すべてのスポーツクラブに一律の答えがあるわけではありません。
神奈川県内でスポーツクラブを運営している場合には、少なくとも次のような観点から検討するとよいでしょう。

子ども向け事業の割合から検討する

まず確認したいのが、自社の事業において子ども向けサービスがどの程度を占めているかです。

成人向けフィットネスが中心で、一部だけキッズスクールを実施している事業者と、会員のほとんどが子どもであるスポーツスクールでは、制度への対応を検討する際の事情も異なります。

指導者と子どもが接する状況から検討する

同じスポーツでも、指導形態によって子どもとの接し方は異なります。
集団指導が中心なのか、マンツーマン指導があるのか、更衣室や遠征、合宿など指導時間以外にも接点があるのか。
こうした実際の運営状況を洗い出すことは、安全対策を検討するうえでも重要です。

保護者への説明やクラブの安全方針から検討する

保護者が安心して子どもを預けられる環境づくりは、スポーツクラブにとって重要です。
日本版DBSの認定を取得するかどうかだけではなく、
「当クラブでは子どもの安全をどのように確保しているのか」
を具体的に説明できる状態を目指すことが大切です。

認定のメリットと継続的な運用コストを比較する

認定を受ければ終わりではありません。
認定後には、法律に沿った取組を継続する必要があります。
そのため、経営者としては、認定によるメリットだけでなく、人員配置や研修、規程整備、情報管理などに必要となる人的・事務的コストも含めて検討する必要があります。

神奈川県のスポーツクラブが今から準備しておきたいこと

こども性暴力防止法は2026年12月25日に施行されます。
認定を検討しているスポーツクラブは、施行後にゼロから準備するのではなく、今のうちから自社の状況を整理しておくとよいでしょう。

自社の事業が認定対象になるか確認する

最初に行いたいのが対象事業の確認です。
法人名や施設名だけで判断するのではなく、実際に提供しているサービスごとに整理します。
複数店舗・複数事業を展開している場合には、どの施設でどのような子ども向け事業を行っているかを一覧化すると分かりやすくなります。

コーチ・インストラクター・アルバイト等の対象範囲を整理する

次に、子どもと接するスタッフを洗い出します。

例えば、

・正社員のコーチ
・パート、アルバイト
・外部インストラクター
・業務委託の指導者
・派遣スタッフ

などです。

雇用契約書や業務委託契約書を見るだけではなく、「実際に誰がどの業務を担当しているのか」まで確認することが重要です。

就業規則・採用手続・研修・相談体制などを確認する

現在使用している社内規程や業務フローも確認しましょう。

採用時の手続、就業規則、研修制度、相談窓口、問題発生時の報告ルートなど、既存の制度を整理することで、何が不足しているのかが見えやすくなります。

こども家庭庁は、就業規則の参考例や情報管理規程のひな型、求人票の参考例なども公開しています。
既存の制度をすべて作り直すのではなく、自社に必要な修正・追加を検討することが実務的です。

認定申請に必要となる体制や書類を準備する

認定を取得する方針が決まった場合は、認定基準を確認しながら必要な体制や書類を準備していきます。
申請書類を作成するだけでなく、「申請書に記載した体制を実際に運用できる状態にする」という視点が欠かせません。
特に複数店舗を運営している事業者では、本部と各店舗の役割分担も整理しておくとよいでしょう。

行政書士に日本版DBSの認定申請を相談するメリット

日本版DBSへの対応では、法律、政省令、ガイドラインなどを確認しながら、自社の事業内容に当てはめていく必要があります。

日々スポーツクラブを運営しながら、制度の資料を一つひとつ読み込み、申請準備を進めることに負担を感じる経営者もいるでしょう。

スポーツクラブが認定対象となるかを整理できる

最初の段階で重要なのは、「そもそも自社のどの事業が認定制度と関係するのか」を整理することです。
特にフィットネス、スイミング、ダンスなど複数の事業を展開している場合は、事業ごとの実態を確認しながら整理する必要があります。

認定基準に沿った社内体制・必要書類を整理できる

認定申請では、書類を提出することだけが目的ではありません。
必要な社内体制を確認し、現状とのギャップを洗い出したうえで準備することが重要です。

行政書士に相談することで、申請手続の観点から必要事項や書類を整理しやすくなります。

なお、就業規則の作成・変更や個別の労務問題、法的紛争など、行政書士の業務範囲外となる事項については、弁護士など他の専門家との連携が必要になる場合があります。

認定申請の手続をスムーズに進めやすくなる

制度の内容を調べながら申請書類を準備することは、事業者にとって大きな負担になる場合があります。
行政書士に申請手続を相談することで、経営者や現場責任者は、必要な情報を整理しながら準備を進めやすくなります。

神奈川県のスポーツクラブの日本版DBS対応を支援

横浜市、川崎市、相模原市をはじめ、神奈川県内で子ども向けスポーツクラブやスクールを運営している事業者にとって、こども性暴力防止法への対応は今後重要なテーマの一つになります。

「自社は認定対象になるのか分からない」
「認定を受けるべきか検討したい」
「申請前に何を準備すればよいか知りたい」

といった段階から、制度の確認と準備を進めておくことをおすすめします。

まとめ|日本版DBSへの対応をスポーツクラブも早めに検討しよう

こども性暴力防止法は2026年12月25日に施行されます。
子ども向けのスポーツクラブについては、一定の要件を満たす場合、国の認定制度の対象となります。

重要なのは、

・スポーツクラブだから一律に義務対象だと考えない
・反対に「民間だから関係ない」と判断しない
・自社の事業内容が認定制度の対象になるか確認する
・認定取得だけでなく認定後の運用まで検討する

という点です。

日本版DBSは、単なる「性犯罪歴チェック制度」ではありません。

犯罪事実確認、研修、相談体制、安全確保措置、情報管理などを通じて、組織全体で子どもを性暴力から守るための制度です。

認定を受けるかどうかを検討する際にも、「認定マークを取得できるか」だけではなく、「自社で継続して制度を運用できるか」という視点が重要になります。

神奈川県でスポーツクラブ、スイミングスクール、体操教室、サッカースクールなどを運営しており、日本版DBSの認定対象に該当するか分からない場合や、認定申請の準備に不安がある場合は、早めに行政書士などの専門家へ相談ください。

施行直前になって慌てることのないよう、まずは自社の事業とスタッフの状況を整理するところから始めてみましょう。