【保護者の77%が期待】日本版DBSの認定は学習塾・スポーツクラブに必要?神奈川県の行政書士が経営者向けに解説します(2026年10月30日)

【保護者の77%が期待】日本版DBSの認定は学習塾・スポーツクラブに必要?神奈川県の行政書士が経営者向けに解説します(2026年10月30日)

2026年12月25日から、「こども性暴力防止法(日本版DBS)」が施行されます。

学習塾やスポーツクラブ、習い事教室を経営している方の中には、

「うちの教室も日本版DBSの対象になるの?」
「認定を受けることは義務なの?」
「認定を受けるには何を準備すればいい?」
「小さな教室でも対応が必要?」

と疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。

2026年10月に公表された保護者調査では、77%が日本版DBSの認定によって塾や習い事への安心感が高まると回答しました。

一方で、塾や習い事で不安や違和感を覚えた経験のある保護者も一定数存在します。

これからの塾・スポーツクラブ経営では、指導内容や料金だけでなく、「子どもを安心して預けられる環境かどうか」も重要な判断材料になると考えられます。

この記事では、行政書士の視点から、日本版DBSの基本的な仕組み、塾・スポーツクラブの認定制度、経営者が準備しておきたい安全対策について、わかりやすく解説します。

1.日本版DBSとは?2026年12月施行で塾・スポーツクラブ経営はどう変わる?

日本版DBSとは、子どもに接する仕事に従事する人の性犯罪歴を確認する仕組みなどを設け、子どもへの性暴力を防止する制度です。

正式には「こども性暴力防止法」に基づく制度で、2026年12月25日に施行されます。

この制度の重要なポイントは、単に性犯罪歴を確認するだけではないということです。

子どもへの性暴力を防ぐためには、日常の指導環境やスタッフの行動、相談体制などを含めた安全管理が欠かせません。

例えば、学習塾で講師と生徒が完全な密室で長時間2人きりになったり、スポーツクラブの指導者が子どもと個人的なSNSで連絡を取り合ったりする状況には、注意が必要です。

もちろん、個別指導や指導者と子どもの連絡そのものが、すべて問題というわけではありません。

重要なのは、トラブルを未然に防ぐための明確なルールがあるかどうかです。

日本版DBSの施行は、塾やスポーツクラブが自社の安全管理体制を見直す大きなきっかけになるでしょう。

2.日本版DBSで保護者の77%が安心感アップ!塾・習い事の最新調査

塾選ジャーナルが2026年9月に実施した保護者100人への調査では、日本版DBSに対する保護者の期待が明らかになりました。

認定を受けることで安心感が高まると思うかという質問に対し、

・とても高まると思う:27%
・やや高まると思う:50%

と回答しています。

つまり、合計77%の保護者が認定による安心感の向上を期待していることになります。

さらに、塾や習い事でヒヤリとしたり、不安や違和感を覚えたりした経験がある保護者は14%でした。

具体的には、講師と子どもが密室で2人きりになったことや、講師から子どもに個人的な連絡先を尋ねられたことなどが挙げられています。

また、安全対策について教室側から説明を受けたことがない保護者は52%に上りました。

この数字から考えたいのは、教室側が安全に配慮しているつもりでも、その取り組みが保護者に十分伝わっていない可能性があるということです。

ただし、この調査は100人を対象とした任意回答のアンケートです。すべての保護者の意見を代表するものではありません。

それでも、経営者が安全管理について考えるうえで、参考になる結果といえるでしょう。

【出典】
塾選ジャーナル調べ
「日本版DBS」に関する調査
https://bestjuku.com/shingaku/s-article/71164/

3.日本版DBSの認定は義務?塾・スポーツクラブが知っておきたい対象事業者の条件

塾やスポーツクラブの経営者が、まず確認しておきたいのが認定制度の位置づけです。

日本版DBSでは、学校や認可保育所など、法律に基づく安全確保の取り組みが義務となる事業者があります。

一方、民間の学習塾やスポーツクラブなどは、一定の要件を満たす場合に、こども家庭庁の認定を任意で申請する仕組みとなっています。

つまり、塾やスポーツクラブを経営しているからといって、すべての事業者に認定取得が義務づけられるわけではありません。

ただし、ここで注意したい点があります。

それは、「任意認定だから何も準備しなくてよい」という意味ではないことです。

また、すべての塾やスポーツクラブが無条件に認定を受けられるわけでもありません。

実際に認定の対象となるかどうかは、事業の内容、子どもとの関わり方、運営体制などを踏まえて、法令上の要件に照らして判断する必要があります。

例えば、個人経営の学習塾と、複数の指導者が在籍する大規模スポーツクラブでは、必要となる管理体制や実務上の負担が異なる可能性があります。

経営者としては、まず自社の事業が認定対象に該当するかを確認し、そのうえで認定取得の必要性を検討することが大切です。

4.日本版DBSの認定を受けるメリットとは?保護者から選ばれる教室の条件

日本版DBSの認定を受けることには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

まず考えられるのは、保護者に対して安全管理への取り組みを示しやすくなることです。

塾やスポーツクラブを選ぶ際、保護者は指導内容や実績、料金、通いやすさなど、さまざまな要素を比較します。

そこに「子どもの安全を守るための仕組みが整っているか」という視点が加わることは、十分に考えられます。

認定を受ける過程で、スタッフの行動ルールや相談体制などを見直すことも、組織運営上のメリットになり得ます。

ただし、認定を受ければ必ず生徒数が増える、経営上有利になるというものではありません。

また、認定は性暴力などの被害が絶対に発生しないことを保証するものでもありません。

認定取得には、必要な安全確保措置の整備や、継続的な管理に伴う負担も考慮する必要があります。

大切なのは、認定を宣伝のための肩書きとして捉えるのではなく、実際に子どもを守る体制を整えるための仕組みとして活用することです。

5.塾・スポーツクラブで起こりやすい安全リスクとは?密室指導・SNS連絡・送迎の注意点

今回の保護者調査で特に注目したいのは、日常の指導環境に対する不安です。

例えば、個別指導を行う学習塾では、講師と生徒が2人きりになることがあります。

個別指導そのものに問題があるわけではありませんが、第三者の目が届かない完全な密室では、トラブルが発生しても周囲が気づきにくくなるおそれがあります。

スポーツクラブでも、更衣室周辺での対応、個別練習、遠征や送迎など、子どもと指導者が少人数になる場面があります。

また、近年はLINEやSNSを利用して、練習日程や授業予定を連絡する教室も少なくありません。

便利な一方で、講師と子どもが個人的にやり取りできる状態を放置すると、運営側が連絡内容を把握できなくなる可能性があります。

そこで、次のような対策が考えられます。

・個別指導室を外部から確認できる構造にする
・密室での1対1の指導を避ける
・子どもとの連絡は教室が管理する手段を利用する
・講師個人のSNSアカウントによる私的な連絡を制限する
・居残り指導や個別送迎のルールを明確にする
・保護者が不安を相談できる窓口を設ける

これらは、すべての事業者に一律に同じ方法を求めるという意味ではありません。

教室の規模や指導形態に合わせ、実行可能で効果的な対策を検討することが重要です。

6.日本版DBSの認定に向けて必要な安全管理体制とは?経営者が整備したい5つのルール

日本版DBSの認定を検討する際には、性犯罪歴の確認だけでなく、子どもを守るための安全管理体制を整備する必要があります。

こども家庭庁は、施行ガイドラインとともに、児童対象性暴力等対処規程や情報管理規程などのひな型を公開しています。

塾やスポーツクラブの経営者が、日常の運営で特に見直しておきたいのは、次の5つです。

① 密室での1対1を避けるルール

個別指導や個人レッスンでは、講師と子どもが2人きりになる場合があります。

教室内が見える窓を設ける、他のスタッフが状況を確認できるようにするなど、第三者の目が届く環境を検討しましょう。

② 講師と子どもの連絡ルール

授業や練習に関する連絡は、原則として教室が管理する連絡手段を使用するなど、私的なやり取りを防ぐ仕組みを整えます。

③ 相談・通報のルール

子どもや保護者が不安を感じたとき、誰に相談できるのかを明確にします。

相談を受けた後の記録方法や、責任者への報告方法も決めておく必要があります。

④ スタッフ研修のルール

安全対策は、経営者だけが理解していても十分ではありません。

常勤講師だけでなく、アルバイトや外部指導者も含め、担当業務に応じた研修やルールの周知を行うことが重要です。

⑤ 問題発生時の対応ルール

子どもから被害の訴えがあった場合などに、誰が対応し、どのように子どもの安全を確保するのかを決めておきます。

これらのルールは、口頭で伝えるだけでなく、文書化しておくことが望ましいでしょう。

ただし、ここで紹介した5つのルールだけで認定要件を満たせるわけではありません。認定を受ける場合は、法令や施行ガイドラインで求められる措置を確認する必要があります。

7.日本版DBSの認定申請はどう進める?塾・スポーツクラブ経営者向け準備の流れ

日本版DBSの認定申請は、2026年12月25日の制度施行日から開始される予定です。

塾やスポーツクラブが認定を受けるためには、学校や認可保育所などに求められる措置と同じ水準の安全確保体制を整える必要があります。

経営者が進めたい準備は、次のとおりです。

ステップ1:認定対象となる事業か確認する

まず、自社の事業内容や指導者数などが認定対象の要件を満たしているか確認します。

特に、学習塾やスポーツクラブなどでは、指導者が3人以上であることなど、制度上の要件に注意が必要です。

ステップ2:現在の安全管理体制を確認する

密室指導、SNS連絡、相談窓口、スタッフ研修などについて、現在どのようなルールがあるかを整理します。

ステップ3:必要な規程や運用体制を整備する

児童対象性暴力等対処規程や情報管理規程など、認定に必要な文書や体制を整えます。

ステップ4:申請に必要な書類を準備する

最新の申請案内に従い、事業内容や安全確保体制に関する必要書類を確認します。

ステップ5:認定後の運用も見据える

認定を受けた後は、対象となる従事者の犯罪事実確認を含め、法律に基づく措置を継続して実施する必要があります。

特に注意したいのが、犯罪歴に関する情報の取り扱いです。

こうした情報は極めて慎重な管理が必要であり、一般的な従業員情報と同じ感覚で扱うことはできません。

誰が情報を取り扱うのか、どのように管理するのかなど、適切な体制を整備することが重要です。

行政書士としても、認定申請のための書類作成だけでなく、事前に必要な規程や運用ルールを整理しておくことが、円滑な準備につながると考えます。

8.日本版DBSの認定を受けない塾・スポーツクラブも安全対策は必要?

「認定は任意なのだから、うちは何もしなくてもよいのでは?」

そう考える経営者もいるかもしれません。

確かに、塾やスポーツクラブなどの民間教育保育等事業者については、認定を申請するかどうかは任意です。

しかし、認定を受けないことと、安全対策を行わなくてよいことは別の問題です。

例えば、講師と生徒が密室で2人きりになる状況を見直したり、保護者向けの相談窓口を設けたりすることは、認定の有無にかかわらず検討できます。

また、規模が小さい教室では、指導者数などの要件により、認定対象にならない場合もあります。

そのような教室でも、子どもを守るための取り組みは重要です。

なお、認定を受けていない事業者が、認定済みであると誤解される表示をすることは避けなければなりません。

大切なのは、認定の有無を正確に伝えながら、自社で実施している安全対策を具体的に説明することです。

9.保護者に選ばれる塾・スポーツクラブへ!安全対策の「見える化」が経営に重要な理由

今回の保護者調査で、もう一つ注目したい数字があります。

それは、52%の保護者が塾や習い事から安全対策について説明を受けたことがないと回答している点です。

教室側では十分に気をつけているつもりでも、その内容が保護者に伝わっていなければ、安心材料として判断してもらうことは難しくなります。

そこで重要になるのが、安全対策の「見える化」です。

例えば、入会時に配布する資料や教室のホームページで、次のような内容を説明する方法が考えられます。

・講師と生徒の個人的なSNS連絡を制限していること
・個別指導時の安全確保の方法
・保護者からの相談窓口
・スタッフへの安全研修の実施
・問題が起きた際の対応方針

ただし、防犯設備の詳しい配置や、個人情報に関する管理方法など、公開することでかえって安全性を損なう情報には注意が必要です。

保護者に伝えるべき内容と、内部で管理すべき内容を区別することも大切です。

安全対策を文書化しておけば、保護者への説明に利用できるだけでなく、新しく採用した講師への研修にも活用できます。

教室の規模が大きくなっても、スタッフによって対応がばらばらになることを防ぎやすくなるでしょう。

安全管理の「見える化」は、保護者への説明責任を果たすと同時に、教室運営の質を高める取り組みでもあります。

10.まとめ|日本版DBS施行前に塾・スポーツクラブ経営者が準備すべきこと

2026年12月25日から始まる日本版DBSは、塾やスポーツクラブの経営者にとって、子どもの安全管理を見直す重要なきっかけになります。

今回の調査では、77%の保護者が認定による安心感の向上を期待していることがわかりました。

一方で、保護者が求めているのは、認定の有無だけではありません。

密室を避ける指導環境、講師と子どもの連絡ルール、相談窓口など、日常的な安全対策も重視されています。

経営者の皆さんには、まず次の3点を確認していただきたいと思います。

1つ目は、自社が日本版DBSの認定対象となるかどうか。

2つ目は、現在の安全管理体制に見直すべき点がないか。

3つ目は、その取り組みを保護者にわかりやすく説明できるかどうか。

特に、小規模な塾やスポーツクラブでは、経営者自身が指導や保護者対応を兼ねているケースも多いでしょう。

日々の運営に追われる中で、安全管理規程や業務マニュアルの整備まで手が回らないことも考えられます。

しかし、問題が起きてからルールを考えるのではなく、事前に対応方法を決めておくことが、子どもを守るうえでも、安定した教室運営のためにも重要です。

行政書士は、認定申請に関する書類作成や手続きの支援、各種規程・マニュアルの文書化など、法令上認められた業務を通じて事業者をサポートできます。

必要に応じて、労務管理や個人情報保護などの専門家と連携することも大切です。

日本版DBSへの対応を、単なる新しい制度への準備で終わらせるのではなく、子どもたちが安心して通える教室づくりにつなげていきたいものです。

【参考資料】

塾選ジャーナル調べ
「日本版DBS」に関する調査
https://bestjuku.com/shingaku/s-article/71164/

こども家庭庁
「こども性暴力防止法」
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou

※本記事は2026年10月時点の公表情報に基づく一般的な解説です。認定要件や申請手続きについては、最新の法令・施行ガイドライン・公式案内をご確認ください。